雇用保険料率をはじめとした令和4年4月からの厚労省関係の制度変更(一部)
先月、健康保険料率が変更(引き下げが18都道府県。引き上げが29県)されましたが、それ以外にも新年度からは厚生労働省関係で様々な法改正が行われています。「雇用保険法等の一部を改正する法律案」は、年度末の令和4年3月30日に国会で成立し、雇用保険料率が改正されることになりました。
◆雇用保険の料率などについて
(1)令和4年4月から事業主負担の保険料率が、令和4年10月から労働者負担・事業主負担の保険料率が変更になります。
・雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、雇用機会が不足する地域における給付日数の延長、教育訓練支援給付金の暫定措置を令和6年度まで継続するとともに、コロナ禍に対応した給付日数の延長の特例について、緊急事態措置の終了日の1年後までが対象となります。
◆女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定等の義務企業拡大
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定・届出、情報公表等が常時雇用する労働者数301人以上の事業主に義務付けられているところ、令和4年4月1日より、101人以上300人以下の企業にも拡大されます。
◆職場におけるパワーハラスメント防止措置の中小企業事業主への義務化(労働施策総合推進法)
令和4年4月1日から、職場におけるパワーハラスメントを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置が義務化されます。
◆新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間の延長
令和4年3月31日までとなっていた新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の適用期間を令和5年3月31日まで延長されます。
◆不妊治療と仕事との両立に係る認定制度の創設
令和4年4月1日から、不妊治療と仕事との両立しやすい環境整備に取り組む事業主を認定する「くるみんプラス」制度が新設されます。
◆育児休業制度等の個別の周知と意向確認、育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け
・本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度や申し出先等に関する事項の周知と休業の取得意向確認を個別に行う必要があります。
・育児休業等の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主に研修の実施や相談窓口の設置等複数のうちから1つの措置を講じることを義務付けられます。
◆有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者であること」という要件を廃止されます。ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することは可能とされます。
◆労災保険の介護(補償)等給付額の改定
令和4年4月から、介護を要する程度の区分に応じ、改定されます。
◆労災就学援護費の支給対象となる者の拡大
令和4年4月から、労災就学援護費の支給対象者として、「公共職業能力開発施設に準ずる施設において実施する教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものとして厚生労働省労働基準局長が定めるものを受ける者」が追加されます。
◆労災保険の特別加入制度の対象拡大
令和4年4月から、特別加入制度の対象として、「あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師が行う事業」が追加されます。
◆年金について
(1)令和4年度の国民年金保険料・・・令和4年度の保険料額は16,590円です。
(2)令和4年度の年金額改定について・・・令和4年度の年金額は、64,816円(老齢基礎年金(満額):1人分)となります。
(3)令和4年度の年金生活者支援給付金額・・・令和4年度の年金生活者支援給付金の基準額は5,020円です。
(4)年金の受給開始時期の選択肢の拡大・・・現在60歳から70歳の間となっている老齢年金の受給開始時期を、60歳から75歳の間に拡大となります。
(5)在職老齢年金制度の見直し・・・60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金の受給者を対象とした在職老齢年金制度の支給停止基準額を28万円から47万円に引き上げられます。
(6)年金担保貸付制度の申込受付終了・・・独立行政法人福祉医療機構が実施してきた年金担保貸付制度は、平成22年12月の閣議決定により、事業の廃止が決定され、令和2年の年金制度改正により、令和4年3月末で新規の申込受付を終了されます。
(7)確定拠出年金制度の改善・・・現在60歳から70歳の間となっている企業型DC・iDeCo(個人型DC)の受給開始時期の選択範囲を、60歳から75歳の間に拡大されます。
iDeCoの加入可能年齢(現在60歳未満)を国民年金被保険者(65歳未満)、企業型DCの加入可能年齢(現在最大65歳未満)を厚生年金被保険者(70歳未満)にそれぞれ引き上げます。また、現在iDeCo加入できない海外居住の方について、国民年金に任意加入することでiDeCoへ加入できることとなります。