従業員の兼業・副業を検討するとき‥会社が気をつけること、留意点
従業員の方が兼業・副業をされる場合、いろいろと考えておかなければならないことがありますので、箇条書きで書き出してみました。
- まず、会社は自社の従業員が、兼業をしているかどうか把握することが必要です
- 兼業している場合には、その「内容を確認」するようにします
- 上記1.2の把握や確認のために事前に「届出制」などのルールを整えておきましょう
- ルールが決まれば従業員に周知し、就業規則に書いておきましょう
- 時間外手当の計算には、自社以外で働いている労働時間も通算されることを理解しておきましょう
- 通算した労働時間に、時間労働の上限(単月100時間未満、3ヵ月平均80時間以内)が適用されます
- 所定外労働の発生順により、1ヵ月60時間を超えた部分は50%割増しとなります
- 上記5.6.7のため、自社以外(他社)での労働時間も把握しなければならないことになります
- 会社は、従業員の兼業先も含めた全体での業務量・時間を把握し‥、それが過重であることを知りながら何も配慮をしなかったがために、従業員の健康に支障が生じたような場合は、「安全配慮に対する義務違反」を問われる可能性があります
- 自社の業務上の秘密が漏洩する可能性がないかを検討してください
- 同一の業種・職種で競合する他社で、自社の従業員が働くことに問題が生じないかも検討しましょう
- 休業補償などの労災保険の給付では、業務上災害のなかったほうの会社の賃金も合算して給付額を算定するようになります
- 自社から兼業先の会社への移動時に起こった災害は、通勤災害として扱われます
- 兼業する従業員の雇用保険は、「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者」となります(令和4年1月より65歳以上で例外的な制度が予定されています)。
- 社会保険(厚生年金・健康保険)は、事業所ごとで判断し、いずれの事業所でも要件を満たさない、あるいは労働時間を合算して要件を満たした、としても適用されません。
- 上記15とは逆に、いずれの事業所でも被保険者要件を満たす場合は、いずれかの事業所を管轄する年金事務所等を選択し、各事業所の報酬月額を合算して標準報酬月額を算定し保険料を決定します。その上で、各事業者は支払う報酬の額により案分した保険料を、選択した年金事務所等に納付するようになります。
自社に兼業・副業を導入されるときは、以上の留意点を確認し、課題をクリアしたうえで‥をお勧めします。
<参考資料:副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和2年9月改定版)>
※労働時間の通算には、兼業が個人事業主(ウーバ○○ーツなど)である場合などは除外されます。この場合は、会社で年末調整できるかどうかも検討しておくべきでしょう。