国土交通省から「自転車通勤導入に関する手引き」が公表されました
仕事に行く‥となれば「通勤」ですが、今般のコロナ禍において感染を防ぐため従業員に電車、バスの利用を控え、自転車による通勤を推奨される会社もあるのではないでしょうか?
平成30年6月に閣議決定された自転車活用推進計画に基づき、事業者活動における自転車通勤や業務利用を拡大するため、「自転車通勤導入に関する手引き」が令和2年5月31日に公表されました。
この手引きは、会社でこれから自転車通勤制度導入の検討をするときや、すでにある自転車通勤制度の見直しを行う際に参考となるもの、という位置づけになっています。
自転車通勤を考えるに「交通事故のリスク」ということが最大のネックです。批判的に申し上げれば、ヘルメットくらいしか身を守るものがないのに、鉄の塊(大型トラックや暴走車両など)が猛スピードで行き交う中を、「自転車で通勤してはどうですか」とはなかなか言えない、ということです。(国交省は、まず自転車や歩行者のことを考えた国道や主要道路の設計から始めては‥)。
手引き10頁には、「自転車による事故の発生状況」では「事故死者数はクルマの約3分の1」と紹介されていますが、電車等の公共交通機関を利用している人を自転車通勤にシフトさせるということは、これまで走行したことがないような長距離を、国道などの幹線道路を使って朝晩往復することになるわけですから、このデータをそのまま鵜呑みにはできず、自転車通勤者がこれまでより増加すれば、実際には本人が負うリスクはかなり上がる、と思います。
また、この手引き5頁に、「自転車は500mから5kmの距離において、ほかのどの交通手段よりも所要時間が短い」というトピックがありました。こういった着眼点は、検討する際に役立ちそうです。
よくまとまった手引きですから、自身で自転車通勤を考えるうえでの資料として、また社内で自転車通勤を検討する資料として活用してはいかがでしょう。