雇用保険法改正による一方的な労働条件の不利益変更みたいな‥と言えなくもない

これまでは65歳以降に就職した人は雇用保険に入れませんでしたが、雇用保険法改正によって平成291月から、65歳以上の人も雇用保険に入ることになります。ご案内のパンフによれば…、

  1. 平成29年になって新しく雇った65歳以上で週20時間以上働く人は、雇用保険の取得手続きを行うようにとのこと。
  2. すでに雇われている65歳になってから採用された人は、これまでは雇用保険に入れませんでしたが、これからは週20時間以上働いている場合には逆に強制的に雇用保険適用となります。このような方は、今年度末(H29.3.31)までに資格取得届を提出するようにとのこと。
  3. 65歳前からずっとその会社で雇用保険に入っている人は、これまでは「高年齢継続被保険者」という区分でしたが、平成291月からは自動的に「高年齢被保険者」に区分変更されますので手続きは不要とのこと。

65歳以上の高年齢被保険者の方は、平成31年度まで雇用保険料は免除となりますが、今から3年経過後には雇用保険料が給与天引きされ、雇用保険料を納めるようになります。65歳以上であっても週20時間以上勤務する人は、法律上強制適用ですから給与天引きを逃れることはできません。3年後に‥、会社の人事労務担当者は、高齢の従業員から「手取りが減るぅ~」との恨み言を聞かされるはめになりそうです。

これまでは、64歳に達した後の年度から雇用保険料が免除され、保険料負担は0でした。これからは、65歳以上の方も若年の方と同じように雇用保険料を払うのですから、失業したときは失業等給付の基本手当(俗にいう失業保険)が同じように出るのかと思いきや、そんなことはありません。雇用保険料が免除されていた時代と同じように、高年齢求職者給付金という一時金での支給です。

その給付の中身を見てみると、65歳未満、勤続10年未満(自己都合)で辞めた場合の基本手当の給付日数は90日なのに対して、65歳以上、勤続1年未満で辞めたときの一時金は30日分、1年以上で辞めたときは50日分、と受給に際して少し見劣りします。給付は変わらず、負担を増やす‥このあたりも、65歳以上で雇用保険料を徴収されるようになる高齢被保険者からは不満が出そうです。ご本人たちからすれば、高齢労働者を狙い撃ちにした雇用保険法改正による一方的な労働条件の不利益変更みたいな、と言えなくもないのですから‥法改正前にもっと広く国民に問いかける必要があったように感じます。