なかなか見つけにくい‥、「雇用」と「請負」の境い目
請負契約では、請負人は「仕事を完成」させ、注文者はその「仕事の結果に対して報酬を支払う」ことになります。請負人は、どんな手順で仕事をするのか、どのような手段で仕事を完成させるのか、自由に選択でき、ほかの人にやらせて自分自身で仕事を完成させる必要はありません。
これに対して雇用契約では、使用者が労働者に対して作業手順や開始時間、終了時間を指示し、指揮命令を行います。また、雇用契約では自分以外の第三者を自分の代わりに就労させることはできず、労働者自身が就労する必要があります。
このように雇用と請負は区別されているわけですが、雇用であっても例外的に使用者の同意を得れば第三者に労務提供をしてもらえるとか、請負であっても請負人自身がその仕事を実施することが契約されていれば、自分以外の人を仕事に携わらせるわけにはいきません。さらに、注文者からの細かい指示があってこれに従う義務のある契約であれば、雇用契約での指揮命令と実態が非常に似ています。
雇用契約の会社員でも、給料が歩合給や出来高給になっていると、仕事の完成に対して報酬が支払われる請負と似てきます。
現実には、雇用契約なのか、請負契約なのか、区別が難しい仕事というのが存在します。形式上は、請負契約になっているけれども、実態としてかなり雇用契約寄りで、契約書では請負人とされている人を労働者として保護しなければならないこともあるでしょうね。