「退職証明書」と「離職証明書」と「資格喪失証明書」・・この似て非なるもの同士

名称が似ていて、混乱しがちなのが「退職証明書」と「離職証明書」と「資格喪失証明書」です。

「退職証明書」は従業員の方が会社を辞める(辞めた)ときに、試用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由のうち、本人が希望する事項を書面にして渡す、というものです【労働基準法22条】。平成11年改正以前は「使用証明」といわれており、退職の事由が加わった時点から「退職証明」というようになりました。解雇の理由を含まない‥、よく使われる書式は添付書類をご覧ください。

「離職証明書」は、雇用保険に入っていた人が会社を辞めたときに、本人から離職票が欲しいと希望あった際、雇用保険の資格喪失届といっしょにハローワークに提出するもの。この離職証明書は、3枚1組の複写式になっていて2枚目が離職票となって本人に渡るようになります。

「資格喪失証明書」は、会社の健康保険に入っていた人が会社を辞めた後、国民健康保険に入る際に市役所等で提出を求められるもの。いつの時点をもって公的医療保険が切り替わるのか、が重要視されますから、会社で作ってあげるときは資格喪失日(退職日の翌日)や被扶養者でなくなった日を間違えないように気をつけます。

どれも本人の希望があった場合に交付するという点では、同じです。退職した人が会社に発行を依頼してきたときに、どういうことに用いるのかよく聞き取りしておかないと、似たような名称ですから求められるものと違うものを渡してしまう可能性がありますね。

ちなみに、①の労働基準法22条の退職証明書を離職票で代替できないか?・・それはダメ!と行政通達にあります。その理由は、「退職時の証明書は、労働者が次の就職に役立たせる等その用途は労働者にゆだねられているが、離職票は公共職業安定所に提出する書類であるため、退職時の証明書に代えることはできない(平11.3.31基発169号)」からです。

3つの書類には、退職日は間違いなく入っていますから、市役所で国民健康保険に入るときに求められる退職日付の証明にはどれを持っていっても大丈夫そうです。会社の人事担当者が、退職した人から「退職証明を下さい」と言われて戸惑うのは、似たようなのが3つあって本人が何を必要としているのかわからないから‥というのが多いです。会社を退職した人が「会社から退職証明もらってきて」と言われるのは、国保に入るとき市役所の国民健康保険の担当課から言われることもあるし、親族が入っている健康保険の扶養になるとき健康保険組合から言われることもありますね。どちらも退職日を確認したいということですね。

かなり前ですが、行政の方から送られてきた③についての様式がありましたから、ご参考までに添付しておきます。名称は、「~連絡票」とありますが、これがいわゆる市役所などで求められる資格喪失証明書と考えていいと思います。soushitsu_renraku001